M字の悩みと私の試行錯誤

私が自分の額の生え際、いわゆるM字部分の薄毛を意識し始めたのは、三十代半ばを過ぎた頃でした。それまでは髪の量に特に不満はなく、むしろ多い方だと自負していただけに、ある日鏡を見て「あれ?」と思った時の衝撃は今でも忘れられません。最初は気のせいか、髪型のせいだろうと自分に言い聞かせていましたが、友人に冗談半分で指摘されたり、写真に写る自分の姿を見たりするたびに、現実を直視せざるを得なくなりました。M字が進行しているのではないか、このままではもっとひどくなるのではないか、という不安が頭から離れず、人と会うのも少し億劫になった時期もあります。何とかしなければという思いから、まずは手軽に始められる育毛シャンプーや育毛トニックを試してみました。宣伝文句を鵜呑みにし、数ヶ月使い続けてみましたが、正直なところ、目に見える効果は感じられませんでした。次に試したのは、生活習慣の改善です。睡眠時間を確保し、バランスの取れた食事を心がけ、適度な運動も取り入れました。確かに体調は良くなりましたし、抜け毛が少し減ったような気もしましたが、M字部分の薄毛が劇的に改善することはありませんでした。それでも諦めきれず、インターネットで情報を集め、様々な育毛剤を試したり、頭皮マッサージを念入りに行ったりと、自分なりに努力を続けました。その過程で分かったのは、M字はげの多くはAGAが原因であり、自己流のケアだけでは限界があるということでした。もっと早く専門医に相談していれば、と後悔もしました。現在は、専門クリニックでAGA治療を受けています。内服薬と外用薬を併用し、数ヶ月が経過しましたが、以前のような焦りや不安はだいぶ薄れました。劇的な変化とまではいきませんが、抜け毛の量が減り、産毛のようなものが生えてきたのを感じています。何よりも、専門医の指導のもとで治療に取り組んでいるという安心感が大きいです。M字の悩みは完全に消えたわけではありませんが、以前のように過度に気に病むことはなくなりました。大切なのは、一人で抱え込まず、正しい情報を得て、自分に合った対策を見つけることだと実感しています。