AGA(男性型脱毛症)ではないかと不安に感じた時、ついインターネットで情報を検索し、自己判断しようとする方は少なくないでしょう。確かに、AGAには特徴的な症状があり、ある程度のセルフチェックは可能です。しかし、自己判断には限界があり、誤った思い込みから不適切なケアをしてしまったり、逆に必要な治療の開始が遅れてしまったりする可能性も否定できません。AGAの判断基準としてよく挙げられるのは、抜け毛の増加、特に細く短い毛が増えること、生え際の後退や頭頂部の地肌の透け感、髪のハリやコシの低下などです。これらに加え、家族歴、特に父方や母方の祖父・父に薄毛の人がいるかどうかも参考になります。AGAは遺伝的要因が強く関与しているため、血縁者にAGAの方がいれば、自身も発症するリスクが高いと考えられます。セルフチェックを行う際には、まず毎日の抜け毛の量や質に注意を払いましょう。シャンプー時やブラッシング時に手に付く毛の数、枕に落ちている毛などを観察し、以前と比較して明らかな変化がないか確認します。特に、細くて短い、いわゆる「うぶ毛」のような毛が増えている場合はAGAの進行が疑われます。また、鏡を使って頭頂部や生え際の状態を定期的にチェックすることも大切です。分け目が広がっていないか、生え際が後退していないか、以前の写真と比較してみるのも良いでしょう。髪全体のボリューム感や、一本一本の髪の太さ、ハリやコシが失われていないかも触って確かめてみてください。しかし、これらのセルフチェックはあくまで目安であり、確定診断にはなりません。例えば、抜け毛が増えたと感じても、それが季節性のものだったり、生活習慣の乱れやストレスによる一時的なものだったりする可能性もあります。また、脂漏性皮膚炎や円形脱毛症など、AGA以外の脱毛症である可能性も考慮しなければなりません。したがって、自己判断だけで結論を出すのではなく、これらの確認事項を念頭に置きつつ、少しでも気になる点があれば専門のクリニックを受診し、医師による正確な診断を受けることが最も重要です。医師は専門的な知識と検査機器を用いて、あなたの状態を的確に判断し、必要なアドバイスや治療法を提案してくれるはずです。