薄毛の進行パターンの中で、自分自身で最も気づきにくく、発見が遅れがちなのが頭頂部、いわゆる「つむじハゲ」です。生え際は毎日鏡で見ることができますが、つむじは合わせ鏡をしたり、写真を撮ったりしない限り、直視することができません。そのため、家族や友人に指摘されたり、エレベーターの防犯カメラの映像を見たりして初めて気づき、愕然とするケースが非常に多いのです。しかし、つむじ周辺の薄毛も、ある日突然発生するわけではありません。注意深く観察すれば、必ず前兆となるサインが現れています。正常なつむじと、薄毛が進行しているつむじの違いを見極めるポイントは、「地肌の見え方」と「毛流」にあります。健康なつむじは、毛の流れが明確で、中心の一点から渦を巻くように髪が生えています。地肌が見えるのは中心部のごく一部だけです。一方、薄毛が始まっているつむじは、毛の流れが乱れて不明瞭になり、地肌が見える範囲が中心からいびつに広がっています。もし、つむじの地肌が綺麗な「点」ではなく、ぼんやりとした「面」で見えるようになっていたり、頭皮の色が赤っぽく透けていたりする場合は、危険信号です。特に、明るい照明の下や直射日光の下で頭頂部がスカスカに見える、地肌の色がはっきりと分かってしまうという状態は、すでに軟毛化がかなり進行している証拠です。また、つむじ周辺の髪の「手触り」も確認してみてください。後頭部や側頭部の髪と比べて、つむじ周りの髪だけが細く、頼りない感触になっていませんか。AGAは通常、頭頂部と前頭部に影響が出ますが、側頭部や後頭部は影響を受けにくいという性質があります。つまり、自分の頭の中で髪質の「格差」が生まれている場合、それはAGAによる局所的な軟毛化が始まっている可能性が高いのです。シャンプーの時やドライヤーの時に、つむじ周りのボリュームが出にくい、地肌に指が直接触れる感覚が強くなったと感じたら要注意です。つむじの薄毛は「O字型脱毛」とも呼ばれ、日本人男性に比較的多いタイプですが、適切な治療を行えば回復しやすい部位でもあります。血管が豊富で薬の成分が届きやすいからです。しかし、発見が遅れて毛根が死滅してしまえば、回復は困難になります。
つむじ周辺の地肌が透けて見える時の危険信号