AGA注入治療と植毛治療の比較

AGA(男性型脱毛症)の治療法の中で、より積極的な発毛効果や根本的な改善を求める場合に選択肢となるのが、注入治療と自毛植毛です。これらは薬物療法とは異なるアプローチであり、それぞれの特徴や適用、費用などを比較検討する必要があります。まず、注入治療(メソセラピーやHARG療法など)は、発毛を促進する有効成分(ミノキシジル、成長因子、ビタミン、ミネラルなど)を、注射や特殊な機器を用いて頭皮に直接注入する治療法です。薬剤を直接毛根周辺に届けることができるため、内服薬や外用薬だけでは効果が不十分だった場合や、より早期に効果を実感したい場合に検討されます。毛母細胞を活性化させ、頭皮環境を改善することで、発毛を促し、髪のハリやコシを向上させる効果が期待できます。複数回の施術が必要となることが一般的で、1クールで数回から十数回の治療を継続します。費用は使用する薬剤やクリニックによって異なりますが、1回あたり数万円から十数万円程度が相場です。メリットとしては、外科手術ではないためダウンタイムが比較的短いこと、広範囲の薄毛にも対応しやすいことなどが挙げられます。デメリットは、効果の持続には定期的なメンテナンスが必要となる場合があること、複数回の通院が必要であること、そして費用が薬物療法に比べて高額になることです。一方、自毛植毛は、AGAの影響を受けにくい後頭部や側頭部の自身の毛髪を、毛包組織ごと採取し、薄毛が気になる部分(生え際や頭頂部など)に移植する外科手術です。移植された毛髪は、その場で生着すれば、元の部位の性質を保ったまま成長を続けるため、永続的な効果が期待できるのが最大のメリットです。特に、生え際の後退が著しい場合や、薬物療法では改善が難しいほど進行した薄毛に対して有効な治療法とされています。デメリットとしては、外科手術であるため、術後の腫れや痛み、ダウンタイムがあること、一度に移植できる本数に限りがあること、そして費用が数十万円から数百万円と非常に高額になることが挙げられます。どちらの治療法を選択するかは、AGAの進行度、薄毛の範囲、期待する効果の程度、予算、ダウンタイムの許容範囲などを総合的に考慮し、専門医と十分に相談して決定することが重要です。薬物療法とこれらの治療法を組み合わせることもあります。