若い頃の私は、お酒の強さに多少の自信があり、飲み会ともなれば率先して杯を重ねるタイプでした。仕事のストレスや付き合いもあって、ほぼ毎日のように深酒をする生活が数年続いた頃、ふと鏡を見て愕然としたのです。以前は豊かだった髪のボリュームが心なしか減り、特に頭頂部が薄くなっているように感じました。最初は気のせいか、あるいは年齢的なものだろうと軽く考えていましたが、美容室でも「少し髪が細くなりましたね」と指摘され、いよいよ無視できない問題だと認識するようになりました。思い返せば、当時の私は食生活も不規則で、栄養バランスなどほとんど考えていませんでした。お酒のつまみは揚げ物や味の濃いものが中心で、野菜を摂る機会も少なかったように思います。睡眠時間も不規則で、夜遅くまで飲んで帰宅し、翌朝は寝不足のまま出勤するという悪循環。今思えば、髪にとって良いことなど何一つしていなかったのです。特にアルコールが髪に良くないと具体的に知ったのは、薄毛を意識し始めてから色々と調べるようになってからです。アルコール分解でビタミンが消費されること、肝臓への負担、睡眠の質の低下など、自分の生活習慣がことごとく髪の健康を損なう行為だったと気づき、大きなショックを受けました。それからは、まず飲酒量を減らすことから始めました。週に数日は休肝日を設け、飲む日も量を以前の半分以下に抑えました。食事も野菜やタンパク質を意識して摂るようにし、できるだけ早く寝るよう心がけました。すぐに劇的な変化があったわけではありませんが、数ヶ月続けるうちに、まず体調が良くなったことを実感しました。そして、半年ほど経った頃には、抜け毛が減り、髪に少しコシが戻ってきたように感じられるようになったのです。もちろん、薄毛の原因は一つではないでしょうし、私の場合は飲酒習慣の改善が大きなきっかけになったというだけで、全ての人に当てはまるとは限りません。しかし、あの時の経験を通じて、日々の生活習慣がいかに大切か、そして過度な飲酒がいかに体に負担をかけるかを身をもって知りました。今ではお酒と程よい距離を保ち、髪だけでなく体全体の健康を意識した生活を送っています。