僕がミノタブの存在を知ったのは、AGA治療を始めて2年が経ち、フィナステリドとミノキシジル外用薬の効果が頭打ちになってきた頃だった。抜け毛は確かに減った。しかし、失われた生え際が劇的に回復するまでには至らず、僕はもどかしい思いを抱えていた。そんな僕に、クリニックの医師が「次の選択肢」として提案してくれたのが、ミノタブだった。国内未承認薬であること、そして心血管系への副作用のリスク。医師からの丁寧な説明を受け、僕は正直、怖かった。しかし、それ以上に「ここで諦めたくない」「やれることは全てやりたい」という思いが強かった。覚悟を決め、僕は2.5mgという最低用量から、ミノタブの服用を開始した。最初の数週間は、特に何も感じなかった。しかし、1ヶ月が過ぎた頃、まず現れたのは、噂に聞いていた「多毛症」だった。腕の毛が、明らかに濃くなっている。そして、服用開始から3ヶ月後、ついに頭髪にも変化が訪れた。これまで産毛のようだった生え際の毛が、黒々とした短い毛へと変わっているのを、鏡の中に見つけたのだ。それは、外用薬だけでは決して得られなかった、確かな手応えだった。半年後には、その短い毛がさらに成長し、M字部分の地肌が明らかに目立たなくなっていた。もちろん、良いことばかりではなかった。服用量を5mgに増やした時には、軽い動悸や、夕方になると足がむくむといった副作用も経験した。そのたびに医師に相談し、用量を調整したり、生活習慣を見直したりしながら、二人三脚で治療を続けた。ミノタブは、魔法の薬ではない。それは、リスクと常に隣り合わせの、強力な武器だ。でも、専門家という頼れるパートナーと共に、その武器を正しく使いこなすことができれば、それは絶望の淵にいる者にとって、これ以上ない希望の光となり得るのだと、僕は自身の経験を通じて確信している。
私がミノタブ治療で経験したこと