AGA（男性型脱毛症）治療で用いられる薬剤には、少なからず副作用のリスクが伴います。治療を開始する前に、これらの副作用について十分に理解しておらず、実際に副作用が現れた際に「こんなはずではなかった」と後悔してしまうケースがあります。特に、内服薬であるフィナステリドやデュタステリドは、AGAの原因物質であるDHTの生成を抑制することで効果を発揮しますが、稀に性機能に関する副作用（性欲減退、勃起機能不全、射精障害など）が報告されています。また、肝機能障害や抑うつ症状といった副作用の可能性も指摘されています。これらの副作用の発生頻度は低いとされていますが、万が一、自分に現れた場合、日常生活や精神面に大きな影響を与える可能性があります。例えば、性機能に関する副作用は、パートナーとの関係にも影響を及ぼすデリケートな問題です。治療開始前に、これらのリスクについて医師から具体的な説明を受け、万が一副作用が現れた場合の対処法（薬剤の変更や中止など）についても確認しておくことが重要です。副作用の可能性を知らされていなかったり、軽く考えていたりした場合、実際に症状が出た時のショックは大きく、治療を継続することへの不安や後悔に繋がってしまいます。また、外用薬のミノキシジルにも、頭皮のかゆみ、発疹、フケ、接触皮膚炎といった皮膚症状の副作用が現れることがあります。これらの症状が強く出たり、長期間続いたりすると、使用を続けるのが困難になることがあります。ごく稀に、頭痛やめまい、動悸、むくみといった全身性の副作用が報告されることもあります。副作用への理解不足による後悔を避けるためには、まず、カウンセリングの際に、使用する薬剤の副作用について、具体的な症状、発現頻度、対処法などを医師に詳しく確認することが不可欠です。「副作用はほとんどない」「心配いらない」といった安易な説明だけでなく、起こり得る全ての可能性について、正直に説明してくれる医師を選ぶことが大切です。また、副作用が現れた場合に、すぐに相談できる体制が整っているかどうかも確認しておきましょう。治療効果を期待するあまり、副作用のリスクを軽視してしまうことは避けるべきです。メリットとデメリットを天秤にかけ、十分に納得した上で治療を開始することが、後悔しないための重要なポイントとなります。