薄毛と一口に言っても、その進行パターンや見た目には明確な種類が存在し、自分がどのタイプに当てはまるのかを把握することは対策を立てる上での第一歩となります。最も代表的なのが、日本人男性の薄毛の約九割を占めると言われるAGA(男性型脱毛症)ですが、このAGAの進行パターンは大きく分けて三つのアルファベットで表現されることが多いです。まず一つ目がM字型です。これは額の左右の生え際、いわゆる剃り込み部分から徐々に後退していくタイプです。鏡を見たときに変化に気づきやすいため、比較的早期に自覚する人が多いのが特徴です。M字型は西洋人に多いとされてきましたが、食生活の欧米化などに伴い、近年では日本人でも急増しています。二つ目がO字型です。これは頭頂部、つむじ周辺から円形に薄くなっていくタイプです。自分では直接見ることが難しいため、家族や友人に指摘されたり、合わせ鏡をして初めて気づいたりすることも少なくありません。O字型は頭皮の血行不良が関与しているケースも多く、自分では見えない「死角」で進行するため、気づいた時にはかなり地肌が透けてしまっているということもあります。そして三つ目がU字型、あるいはA字型と呼ばれるタイプです。これは前頭部から頭頂部にかけて広範囲に薄毛が進行するもので、M字とO字が併発して繋がってしまった状態とも言えます。最も進行した形態であり、見た目の印象を大きく変えてしまいます。これらの形状による分類は、アメリカのハミルトン医師とノーウッド医師によって作られたハミルトン・ノーウッド分類という指標に基づいています。自分の薄毛がどのパターンで進行しているのかを知ることは、治療戦略を立てる上で非常に重要です。例えば、M字型は血管が少なく薬効が届きにくいため、飲み薬だけでなく塗り薬や注入治療を併用する必要がある場合が多いですし、O字型は比較的血流が豊富な場所なので、内服薬の効果が出やすいと言われています。形が違うということは、そこにある毛根の感受性や環境が異なることを意味します。また、これらのAGAによる典型的なパターンとは異なり、側頭部や後頭部も含めて全体的に均一に薄くなる場合は、別の脱毛症の可能性も考えられます。形を見ることは、単なる見た目の問題ではなく、その裏に隠された原因や最適な治療法を探るための羅針盤となるのです。
M字O字U字など形から見る薄毛の分類と特徴