セルフケアを続けても、前頭部の薄毛が改善しない、あるいは進行しているように感じる。そんな時は、一人で悩まずに、専門のクリニック(皮膚科や女性の薄毛専門クリニック)に相談する勇気を持ちましょう。女性の薄毛の原因は複雑であり、専門家による正確な診断と、医学的根拠に基づいた治療が、改善への最も確実な道筋を示してくれます。病院では、まず医師による丁寧な問診と診察が行われます。マイクロスコープで頭皮の状態を詳細に観察し、あなたの薄毛がFAGA(女性男性型脱毛症)によるものなのか、あるいは牽引性脱毛症や皮膚炎、さらには内科的な疾患が原因なのかを診断します。診断に基づき、あなたに最適な治療法が提案されます。現在の女性の薄毛治療において、最も標準的で効果が証明されているのが、「ミノキシジル外用薬(塗り薬)」です。ミノキシジルは、日本で唯一、女性への発毛効果が認められている医薬品成分です。頭皮に直接塗布することで、毛根周辺の血行を促進し、休眠状態にある毛母細胞を活性化させて、発毛を促します。クリニックでは、市販薬よりも高濃度のものを処方してもらうことが可能です。次に、体の内側からのアプローチとして、「内服薬」や「サプリメント」が処方されることもあります。例えば、男性ホルモンの働きを抑制する作用のある「スピロノラクトン」という薬が、FAGAの治療に用いられることがあります。また、髪の成長に必要なビタミンやミネラル、アミノ酸をバランス良く配合した医療機関専売のサプリメント(「パントガール」などが有名)も、治療の補助として非常に有効です。さらに、より積極的な発毛を目指したい方向けに、成長因子などを頭皮に直接注入する「注入治療(メソセラピー)」や、自身の血液から抽出した成長因子を利用する「PRP療法」といった、最先端の再生医療も選択肢となります。これらの治療法の中から、医師はあなたの症状の重症度や体質、予算などを考慮し、最適な治療計画をオーダーメイドで組み立ててくれます。専門家と二人三脚で取り組むことで、一人では到達できなかった改善への道が開けるはずです。