仕事終わりの開放感に包まれて、喉に流し込む最初の一杯。この瞬間のために生きている、とさえ思うことがある。黄金色の液体が喉を通り過ぎ、体の隅々まで染み渡っていく感覚は、一日の疲れやストレスをきれいに洗い流してくれるかのようだ。しかし最近、その至福の瞬間に、一抹の不安がよぎるようになった。鏡を見るたびに感じる、生え際のわずかな後退。シャンプーの後に排水溝に集まる、以前より明らかに増えた抜け毛。私のこの一杯が、彼ら(髪の毛)の未来を奪っているのかもしれない。そう思うと、ビールの味も少しだけ苦く感じる。インターネットで「薄毛 飲酒」と検索すれば、出てくるのは絶望的な情報ばかりだ。アルコールが髪の栄養を奪い、睡眠の質を下げ、肝臓を痛めつける。分かっている。頭では痛いほど理解しているのだ。それでも、この習慣をやめるのはあまりにも難しい。仕事のプレッシャー、人間関係の軋轢、将来への漠然とした不安。それらから一時的にでも逃避させてくれるアルコールという存在は、私にとって必要悪なのかもしれない。完全に断ち切るのではなく、共存の道を探るべきなのだろうか。例えば、飲む量を減らす。毎晩飲むのをやめて、週末だけのご褒美にする。あるいは、ビールではなく、体への負担が少ないという焼酎に切り替える。髪に良いとされるタンパク質や亜鉛を、おつまみで積極的に摂る。できることはたくさんあるはずだ。大切なのは、思考停止に陥らないこと。アルコールの快楽に身を委ねるだけでなく、自分の体と、そして髪と、真剣に向き合うことだ。一杯のビールがもたらす束の間の幸福と、十年後も豊かな髪を保つという長期的な幸福。その天秤の上で、私は自分なりの最適解を見つけ出さなければならない。それは、単なる薄毛対策という以上に、これからの自分の生き方を問う、深く、そして重要な問いかけなのかもしれない。
一杯のビールが髪の未来を左右するなら