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私が勇気を出してボブにした日
鏡に映る自分の頭頂部を見るたび、深いため息が出る。それがここ数年の私の日常でした。もともと猫っ毛で髪が細いことに加え、年齢とともにトップのボリュームが失われ、分け目がくっきりと一本の線のようになってしまっていたのです。少しでも隠そうと、髪を伸ばして分け目をごまかしたり、ふんわりさせようとカーラーを巻いたりしましたが、時間と共にぺたんこに戻ってしまうだけ。風の強い日には、頭皮が剥き出しになるのではないかと、手で髪を押さえながら歩くのが癖になっていました。そんなある日、雑誌で見た素敵なボブスタイルの女性に目が留まりました。ふんわりと空気感のあるその髪型なら、私の悩みも解決できるかもしれない。でも、短くしたら余計に地肌が目立つのではないかという恐怖心もあり、美容室の予約ボタンを押してはキャンセルする、という日々を繰り返していました。しかし、もう悩み続けるのは嫌だ。そう決心し、口コミで評判の良かった美容師さんを指名して、ついに予約を入れたのです。当日、震える声で「トップのボリュームがなくて、分け目が目立つのが悩みです」と打ち明けると、美容師さんは優しく頷き、「大丈夫ですよ。ボブにすれば、そのお悩み、きっと軽くなりますよ」と言ってくれました。そして、私の髪質や骨格を見ながら、後頭部に丸みを持たせ、トップにレイヤーを入れてふんわり感を出すカットを提案してくれました。ハサミの音がするたびに心臓がドキドキしましたが、仕上がった自分の姿を鏡で見た瞬間、思わず「わぁ」と声が漏れました。そこには、ぺたんこだったトップが嘘のようにふんわりとし、分け目も自然にぼやけている、全く新しい私がいたのです。軽くなった髪、そして何より心が軽くなった。あの時、勇気を出して一歩を踏み出して本当に良かった。ボブにしたあの日が、私の自信を取り戻す記念日になりました。