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お酒をやめたら髪も心も豊かになった話
毎晩の晩酌がやめられない。ストレス解消にはこれしかない。そう思い込んでいた私にとって、お酒は生活に深く根付いたパートナーのような存在でした。しかし、そのパートナーシップには代償が伴っていました。年々薄くなる髪、増えていく抜け毛。鏡を見るたびにため息をつき、どうにかしなければと思いつつも、夜になればまた缶のプルタブを開けてしまう。そんな悪循環を断ち切るきっかけは、ある日ふと感じた強烈な自己嫌悪でした。このままじゃダメだ。そう決意し、私は「減酒」から始めることにしました。まずは週に二日の休肝日を設定。最初のうちは手持ち無沙汰で落ち着きませんでしたが、代わりにハーブティーを飲んだり、読書に集中したりするうちに、少しずつ慣れていきました。驚いたのは、お酒を飲まない夜の時間の長さです。今まで酔ってぼんやり過ごしていた時間が、まるまる自分のために使える。映画を一本観たり、資格の勉強をしたり、有意義に過ごせることに気づきました。そして、朝の目覚めが劇的に変わりました。頭がすっきりして、体も軽い。日中の仕事の効率も上がったように感じます。減酒が軌道に乗ってくると、不思議とお酒に対する執着心も薄れていきました。そして、始めてから半年ほど経った頃、美容師さんから「髪、しっかりしてきましたね」と言われたのです。自分でも感じていました。抜け毛が減り、髪にハリとコシが戻ってきたことを。薄毛対策として始めた減酒でしたが、得られたものはそれだけではありませんでした。浮いたお酒代でちょっと良いレストランに行ったり、趣味にお金を使えたり。何より、アルコールにコントロールされるのではなく、自分で自分の時間をコントロールできているという感覚が、大きな自信につながりました。髪が豊かになっただけでなく、心も、そして生活全体が豊かになった。今では、たまの付き合いで嗜む一杯のお酒を、心から美味しく感じられるようになりました。お酒との距離感を見直すことは、髪にとっても、人生にとっても、素晴らしい転機になるかもしれません。
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カリスマ美容師が語る似合わせボブの秘訣
今回は、数多くの女性の髪の悩みを解決し、予約の取れない人気美容師として知られるSATOUさんにお話を伺います。薄毛に悩むお客様にボブを提案されることも多いそうですね。SATOUさん「はい、ボブは薄毛をカバーする上で非常に有効なスタイルです。ただ、私たちは単に『隠す』ためだけのカットはしません。その方の魅力を最大限に引き出し、結果としてコンプレックスが気にならなくなるような『似合わせボ涜を提案することを常に心がけています」。似合わせる上で、最も重視する点は何でしょうか。SATOUさん「カウンセリングでの対話です。お客様が気にされている『分け目』や『つむじ』といった具体的な悩みはもちろんですが、その方の普段のファッション、お好きな雰囲気、ライフスタイルまで、じっくりお話を伺います。例えば、アクティブでカジュアルな服装が多い方には、少し動きのある軽やかなレイヤーボブを。エレガントで上品な雰囲気がお好きなら、まとまりのあるグラデーションボブを、といった具合に、その方のパーソナリティに寄り添ったスタイルを考えます」。カットの技術的なポイントはありますか。SATOUさん「技術的には『骨格補正』と『質感調整』が鍵になります。日本人の多くは後頭部が平らな、いわゆる絶壁の方が多いのですが、襟足の長さを調整し、後頭部に丸みが出るようにカットすることで、トップに自然な高さとボリュームが生まれます。これが骨格補正です。また、ただ短くするだけでは重い印象になりがちなので、毛量調整、いわゆるセニングが重要になります。ただし、根元からすきすぎると短い毛が立ち上がってしまい、かえってまとまりが悪くなるので、髪の内部に空間を作るようなイメージで、丁寧に入れていくのがプロの技です。髪は動いた時に最も美しく見えるべきなので、360度どこから見ても綺麗なシルエットになるよう、計算し尽くしています。髪型一つで、人は驚くほど自信を持てるようになります。その輝く瞬間のお手伝いができるのが、この仕事の最大の喜びですね」。
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美容師さんへ上手に伝えるボブの注文方法
薄毛をカバーしたいという思いでボブに挑戦するなら、美容師さんとの最初のカウンセリングが成功の九割を占めると言っても過言ではありません。しかし、「薄毛が気になるので、いい感じにしてください」というような曖昧な伝え方では、理想のスタイルにたどり着くのは難しいでしょう。大切なのは、自分の悩みを具体的かつ正確に伝え、美容師さんとイメージを共有することです。まず、予約の段階で「髪のボリュームについて相談したい」と一言伝えておくと、カウンセリングに時間をかけてくれる美容室が多いです。そして当日、席に着いたら、まずは自分の髪のどこが一番気になっているのかを正直に話しましょう。「頭頂部がぺたんこに見える」「分け目がくっきりついてしまう」「つむじが割れて地肌が見えやすい」など、具体的な言葉で伝えることが重要です。次に、理想のスタイルについてです。ヘアカタログやスマートフォンの画像を見せるのが最も効果的ですが、その際、ただ「この髪型にしたい」と言うだけでは不十分です。そのスタイルの「どこ」が気に入ったのかを付け加えましょう。「この写真のようなトップのふんわり感が欲しい」「このモデルさんのように、分け目をジグザグにぼかしたい」といったように、具体的なポイントを指し示すことで、美容師さんはあなたの要望をより深く理解できます。また、「こんな失敗は避けたい」というネガティブな情報を伝えるのも有効です。「以前、すかれすぎて毛先がスカスカになってしまった」「重すぎるボブにしたら、かえってトップが潰れてしまった」などの経験を話せば、同じ失敗を繰り返さないように配慮してくれます。最後に、普段のスタイリング方法や、どれくらい手間をかけられるかを伝えることも忘れてはいけません。これらの情報を総合して、プロである美容師さんは、あなたの髪質、骨格、ライフスタイルに合った、最高のカバーボブを提案してくれるはずです。
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私が勇気を出してボブにした日
鏡に映る自分の頭頂部を見るたび、深いため息が出る。それがここ数年の私の日常でした。もともと猫っ毛で髪が細いことに加え、年齢とともにトップのボリュームが失われ、分け目がくっきりと一本の線のようになってしまっていたのです。少しでも隠そうと、髪を伸ばして分け目をごまかしたり、ふんわりさせようとカーラーを巻いたりしましたが、時間と共にぺたんこに戻ってしまうだけ。風の強い日には、頭皮が剥き出しになるのではないかと、手で髪を押さえながら歩くのが癖になっていました。そんなある日、雑誌で見た素敵なボブスタイルの女性に目が留まりました。ふんわりと空気感のあるその髪型なら、私の悩みも解決できるかもしれない。でも、短くしたら余計に地肌が目立つのではないかという恐怖心もあり、美容室の予約ボタンを押してはキャンセルする、という日々を繰り返していました。しかし、もう悩み続けるのは嫌だ。そう決心し、口コミで評判の良かった美容師さんを指名して、ついに予約を入れたのです。当日、震える声で「トップのボリュームがなくて、分け目が目立つのが悩みです」と打ち明けると、美容師さんは優しく頷き、「大丈夫ですよ。ボブにすれば、そのお悩み、きっと軽くなりますよ」と言ってくれました。そして、私の髪質や骨格を見ながら、後頭部に丸みを持たせ、トップにレイヤーを入れてふんわり感を出すカットを提案してくれました。ハサミの音がするたびに心臓がドキドキしましたが、仕上がった自分の姿を鏡で見た瞬間、思わず「わぁ」と声が漏れました。そこには、ぺたんこだったトップが嘘のようにふんわりとし、分け目も自然にぼやけている、全く新しい私がいたのです。軽くなった髪、そして何より心が軽くなった。あの時、勇気を出して一歩を踏み出して本当に良かった。ボブにしたあの日が、私の自信を取り戻す記念日になりました。